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第2話 悪しき影響【カタルシスレコード】-part3

公開日:2017年08月25日

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 仕女も話に加わり、四人で現状を整理することになった。


「最初から整理して言うぞ」


 魔王が口火を切る。


「まず、仕事が増えた理由だがな、人間を魔物・魔者に変化させてしまう怪しい光が、ここ最近になってこの世界に蔓延(はびこ)るようになったんだ」

「それは、魔法なのでしょうか?」


 仕女が不安そうに魔王に問いかける。


「さぁな。魔法の研究をしている俺ですら、わからないことが多いんだ。桁違いな魔力の影響によって、魔力の粒子が人間に影響を与えたとしてもおかしくはない」

「こちらの世界は人間も魔法が日常的に使われています。そのため、魔力の大きなものが魔者に、魔力の小さなものは魔物に変化しているようです」


 カイムが魔王の説明に補足説明を加える。


「そんなわけで、人間が変化してしまった魔物や魔者を元に戻してほしいという依頼が、神の神殿に多数寄せられて、仕女にはどうしようもできないってことで、魔王城に仕事が流れるようになってな」

「更に、魔界でも魔物や力がそこまで強くない魔者が凶暴化してしまうといった事件が多発するようになりました」

「これも、人間界と同様の影響だと考えられるな」

「影響のない人間や魔者もいるの?」


 今まで黙っていた神子が魔王に確認する。


「俺達は結界が張ってある魔王城にいるから影響はない。それに元から素質があり、強い者は影響を受けずに済んでいるようだ」

「それでも多少暴力的になってしまうらしく、自分で制御できないって方もよく魔王城に助けを求めに来ます」

「そう……」

「魔力の粒子を取り除けば元に戻るってことがわかったから、そこまで害はないが……一つ問題があってな」

「「問題?」」


 カイムは事情を知っているのか涼しい顔をしているが、神子と仕女が二人揃って疑問符を浮かべる。


「俺の魔力を使うんだよ」

「ああ、だから、あんた、そんなゲッソリしてるのね」

「サラッと言うなよ……この結界だって常に俺の魔力を使ってるんだぞ」


 魔王の顔色は既に青白くなってしまっている。


「え、じゃあ、魔王様の魔力が切れてしまったら……」

「仕女と神子様は人間ですから……魔力の耐性の差で仕女が先に魔者化するかと思われます」


 よほど慌ててしまったのか、仕女は神子の胸ぐらを両手で掴んで訴える。


「か、神子様! は、早く魔王様の魔力を!」

「ね、寝起きで、いきなりは、む、無理よ!」


 神子は仕女から鬼気迫る表情と声で訴えられて、たじろいでしまう。


「改めて説明するが、こちらの世界の影響が起きたタイミングと影響の内容を考えると、さっきも言ったようにダンリオンが目覚めたとしか考えられないんだ」

「神子様が目覚めるまでは、混乱を避けるべく仕女にも伏せさせていただいておりました」

「そうだったんですね……突然で驚きました」

「私もよ」


 神子は、寝起きで色々な出来事を一度に聞くことになってしまっている。
 神子は頭痛がしているのかこめかみを抑えて眉をひそめている。


「ダンリオンを封じた本がアモンと一緒に消えたからな。本来なら、こちらの世界に影響が及ぶことはまずないが……」

「ダンリオンは用意周到なヤツよ。従者なり分身体なり、こちらの世界に置いておいてもおかしくないわ」

「そうとしか考えられないな」


 魔王も神子に同意するかのように頷く。


「あの……では、別世界の方ではどうなるのでしょうか?」

「さぁな……別世界では魔法の扱いや耐性がどうなっているのかはわからないが、こちらと同じようなら、別世界でも影響が出ていてもおかしくはない」

「魔法の扱いがこちらの世界より主流だとすると、こちらの世界よりも影響力が強いとも考えられます」


 魔王とカイムから説明を聞いていくうちに仕女の顔が蒼白になっていく。


「このままでは、こちら側もあちら側も人間・動物がすべて滅んでしまいます! 早くなんとかしなければ……っ!」

「仕女、落ち着きなさい」

「神子様、ですが……っ!」

「なんとかしようにも、こっちとあっちの両方の元凶を倒さないといけないのよ。まずは早く私の分身体を探さないと」

「でも、どうやって探すんだ?」

「う゛」


 神子は探す方法など考えてないとばかりに魔王からの指摘に言葉を詰まらせる。


「仕方ないですね……。私も魔王様の魔力回復にかなりの魔力を使っているので今はできませんが、魔王様と私の魔力を回復していただけるなら、一つだけ手があります」

「カイム?」

「私の魔力の半分を使って、どの世界のどの場所にいるかを探し出すことはできます。詳細な座標までは難しいですが……」

「それだけわかれば、俺のほうで何か手を打とう……たださ、その前に、本当に俺の魔力だけでもいいから先に回復してくれないか?」

「もしかして、あんた……」

「流石に俺もこれ以上結界に魔力は割けん……。一時的に結界を消すぞ」


 魔王が机に突っ伏したのと“それ”は同時だった。


悪しき影響part4に続く


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