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第0話 すべての始まり【カタルシスレコード】-part4

公開日:2017年04月01日

最終更新日:2017年08月25日

2017年08月25日、ページ最後の話数の表記を修正しました。

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「断ります。私は、そこの腑抜けな魔王よりもダンリオン様に仕えたいので」


「私の息子を馬鹿にするとはいい度胸ね……!」

「まぁ、事実だしな」

「ストラス! あんたもちょっとは怒るとかしたらどうなの!?」

「俺が馬鹿にされる分には構わないが……親父と母さんが封印したその本はお前に扱える代物じゃないんだ。返してもらうぞ」






 魔王の周りが緑色に輝き出す。

 瞳と髪の色が銀色へと変わる。






「やってみなければわからないでしょう!?」


 聞き取れない小さな声で何やら呪文のような言葉を唱える。

 アモンの周りが紫色に光り輝き、本も黒い光を出し始めるが、それだけだった。


「私の魔力では……足りないというのか……」


「さぁ、わかったなら、返してもらうぞ!」






 緑色の球体のような光がいくつもアモンに向かって放たれた!






「ここは引きましょう。いつかまた」





 アモンが消える。

 アモンがいた場所に球体の光がぶつかって消滅した。






「クソ……逃げられた」


 魔王も神子もいつもの髪と瞳の色に戻った。


「急に消えたわよ!?」

「次元の魔法だ。あいつ、結構厄介な魔法を唱えやがったな」


「どこに行ったか、気配が読めないわ」

「だろうな」


「あんたはわかるの?」


「俺もわからん。

次元の魔法は、

この世界か、

別の世界か、

もしくは次元の狭間につぶされてしまうか、

魔法を唱えた術者ですらわからないことのほうが多いんだ」


「なによ、それ。そんな魔法があるというの?」


「扱いが難しい魔法だが、ちゃんと存在している。俺は一応使えるが、さすがに使った術者を追うことはできん」

「困ったわね……」


「あ、あの!」


「どうした? カイム」


「これはアモンさんの髪の毛です。これに探索魔法をかけたところ、少なくとも生体反応はありました」


「なら、生きてるってことか」


「この世界の端……私達ですら感知できないほど遠くにいるか、もしくは」

「別世界のどちらかだろうな」


「まずは、帰るわ。人間界を探してくる」

「俺は魔界を探す」


「あとで使い魔を寄越してちょうだい。また、情報を交換しましょう」

「わかった」


 神子はその場からすぐに消えた。

 カイムは驚き、戸惑っていた。


「次元魔法じゃないよ。ただの転移魔法だ。神の神殿に戻っただけさ」

「アモンさんと同じじゃないかとびっくりしました」

「母さんは次元魔法使えないよ。親父も使えない」

「え、じゃあ、魔王様はなんで……?」


「俺は魔法オタクだからな」


(膨大な魔力のおかげもあるんでしょうね……)


 この世界では、“世界で一番魔力の強い魔者”が魔王と呼ばれることになる。

 対して“世界で一番魔力が強い人間”を神子と呼んでいる。


(この野心の欠片もない平和主義者で魔法オタクな魔王様に仕え、共に魔王のお母様である神子様に振り回されながらも楽しい日々を過ごしていたのになぁ……)


 しばらく、平和はおあずけのようだ。






作:弓月キリ

第1話(作:雨崎涼葉)に続く

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