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第0話 すべての始まり【カタルシスレコード】-part3

公開日:2017年04月01日

最終更新日:2017年04月05日

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 しばらくの沈黙が訪れる。



「それはどうでもいいわ。あんた、そろそろ結婚適齢期でしょ。嫁見つけなさいよ」

「どうでもよくないし、またそれか。だから面倒なんだって前々から言ってるだろ」

「あんたねー、早く私を安心させなさいよー。せめて、もうちょっと魔王らしく」

「だから、魔王って、人間界の奴らの常識での話だろ。俺は知らん。面倒だ」


「神子様、お久しぶりです。神子様こそ、それっぽく造った“神の神殿”にいなくていいんですか?」

「あら。あんた、いつも息子の世話、ありがと。大丈夫よ。仕女に任せてるわ」


 魔王とカイムは、ジト目で神子を見る。


(仕女も可哀想に……)

(少なくとも俺はちゃんと自分の仕事やってるしな。母さんよりマシだ)


「あんたたち、何よ、その目」

「いいから、母さん。もう帰れよ」

「えー……だって、暇なんだもの」

「俺たちの邪魔すんなよ」


(結局、母さんは暇つぶししたかっただけか……)


「やぁ。今日も賑やかだね」

「あ。アモンさん。昨日ぶりですね」

「そうだね。今日も忙しそうだね?」

「そうでもないですけどね」


 銀色の長髪をかきあげて、青い瞳をカイムに向けた。

 彼が着ている紫色の服は魔王城にいるメンバーより目立っていた。


「それにしても、魔王様は相変わらず野心がないようだ」

「平和でいいですけどね」

「私はごめんだな。神子様の手前、言いにくいが、馬鹿な人間共と平和的に過ごしたいとは思えない」

「あんた、はっきり言ってるじゃない」


 神子がジト目でアモンを見る。


「ああ、これは失礼。魔王様、今日も勉強させてもらってもいいかな?」

「好きにしたらいい」

「どうも」


 アモンは、魔王の机のそばにある本棚を見ていくつか本を取り出しては読み始めた。


「帰るわ」


 興がそがれたのか、神子は扉に向かって歩き始める。


「お。帰るのか。気をつけろよ」


 その言葉に神子は足を止め、振り返り際、ジト目で息子である魔王に呆れたように叱った。


「あんた、私を誰だと思ってるのよ。大丈夫に決まってるじゃない」


「それもそうだった」


 苦笑いを浮かべる魔王。


「あんた、早く嫁見つけるか、もうちょっとしっかり仕事するかしなさいよね」

「面倒だ。帰れ」


 魔王は「シッシッ」と小さく声を出しながら、手で追い払う仕草をする。


 「仕方ないわね」と小さく呆れたように呟いて神子が部屋を出る直前、アモンの方に向き直った。


「アモンだっけ? あんた、ちょっと答えなさい」

「神子様、私に何か?」

「あんた……その本、どこで手に入れたの?」


 神子は、アモンが持っていた本の一冊を指差した。


「この本ですか?」

「そうよ。私と息子しか知らない上に、それはわからないように魔法で隠していたのだけれど?」

「ああ、だからですか……見つけるのに苦労したんですよ」


 アモンは肩をすくめて苦笑いを浮かべた。


「私、ましてや息子がそれを不用心に取り出すとは思えない。あんた、一体その本は何の本なのか知ってるの?」

「ええ、知ってますよ。先代魔王様の側近だったダンリオン様が封じられている本ですよね」


「知ってるなら、なおのこと……その本、返しなさい」






 神子の周りが白く輝き出す。

 瞳と髪の色が金色へと変わる。
 
 

すべての始まりpart4に続く


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