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第0話 すべての始まり【カタルシスレコード】-part2

公開日:2017年04月01日

最終更新日:2017年04月05日

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 一年前。



 青い空。

 白い雲。


 活気があると遠目からでもわかるほどしっかりとした造りで人々が出入りしている城下町。

 遠目から見ても小さくないとわかる白い城。

 その反対側には、緑色の生い茂る森。

 入ったら二度と元の場所に戻れないという恐怖を感じさせるほど、先が見えない。


 その森の奥に大きな黒い城がそびえ立っていた。


「よく言われるんだよ」


 その大きな黒い城の最上階。窓から城下町を見下ろしながら、黒い服に身を包んだ浅黒い肌で黒い長髪の青年が小さくぼやいた。


「仕事してくださいよ。魔王」


 ため息をつきながら、同じく黒い服に浅黒い肌の金髪の少年が抱えていた本を何冊か、目の前の机の上に置いた。

 少年は赤い瞳を少しだけ細めて魔王と呼ばれた青年に向ける。彼なりに睨んでいるつもりのようだ。


「まぁ、聞けって。カイム。

『魔界っぽくない!』『魔王っぽくない!』ってよく人間に言われるんだけどさ、

魔界ってなんだ?

魔王ってなんだ?

お前らの絵本で見た知識なんざ、俺は知らない」


「私も知りませんよ……いいから、仕事をしてください」


「今、暇だろ。俺もお前も」


「そうですけど、仕事がゼロになるわけじゃないんですよ」


「たまーに面倒な勘違い人間が侵略しにやってくるのを追い払ったり、

ルールを破った言葉の通じない魔物を抹殺したり、

迷ってきた人間を人間界に返してやったり、

人間界に迷った馬鹿者を回収しに行ったり、

ほんと面倒なんだよ」


「今はどれも起きてないので、早く記録つけちゃってくださいね」


「面倒くさい」

「いいから、やってくださいよ。私じゃわからないんですから」


 小さな声で「これだから、もう……」と呟いた少年カイムの声を無視して、魔王と呼ばれた青年は、黒い瞳を細めて、遠くを見て小さくぼやく。


「俺は、こんなことより、もっと魔法の勉強をしていたいんだよ……」






 バァンッ!!!!






 突然、しっかりとした木製の扉が大きな音と共に開かれた。






「な、何事ですか!?」

「あー……面倒な人が来たか」






 ツカツカツカツカ……!






 魔王と少年二人だけの部屋にヒールの高い靴の音が響く。






 バァン!






 机を叩く音が部屋に響く。

 机を叩いているのは、巫女装束に身を包んだ、真っ直ぐで長い黒髪で黒い瞳をした女性だった。

 年は青年とさほど変わらないように見える。






「面倒な人ってなによ!? ストラス。あんた、母親に向かって何よ、その言い草は!?」

「大きな音を出して扉を開ける母さんを見たら、誰だってそう思うだろ」

すべての始まりpart3に続く


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