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第0話 すべての始まり【カタルシスレコード】-part1

公開日:2017年04月01日

最終更新日:2017年04月05日

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「おそらく、別の次元にいるんでしょうね」


 巫女装束に身を包んだ、真っ直ぐで長い黒髪で黒い瞳をした女性が呆れたように肩をすくませて言った。


「だろうな。人間界にも魔界にも奴を見つけられなかった」


 黒い服に身を包んだ浅黒い肌で黒い長髪の青年が疲れたような少しやつれた顔で答えた。


「まだ生体反応はあるの? カイム」

「神子様、はい。生体反応はまだあります」


 カイムと呼ばれた黒い服に浅黒い肌の金髪の少年は何やら銀色の糸のようなものを見て巫女装束の女性に向かって答えた。

 銀色の糸は淡く白い光を発している。

 巫女装束の女性は神子様と呼ばれているようだ。


「ねぇ。魔王ストラス。あんたならできるの?」

「理論上は」

「なら任せるわ。私は今日のためにこの子を造ったの」


 神子を少し幼くしたような少女。

 同じ巫女服に身を包んで横たわっていた。

 少女は眠っているように見える。


「カイム。それを貸してくれ」

「はい。魔王様」


 少年は、魔王と呼ばれた青年に何やら銀色の糸のようなものを手渡した。

 淡く白い光は既に消えている。


「この髪を奴の分身と見立てれば、同じ世界に物を送ることはできるだろう。そいつに何か命令でもしてるのか?」

「当たり前でしょ。私の魔力のほとんどを使って、この子を造ったんだから。ちゃんと目的の奴を探して報告しなさいって。生活に困らないようにある程度の知識も与えてあるわ」


「そうか。じゃあ、始めるぞ。その前に、カイム。そいつの髪の毛を1本抜いておくんだ」

「わかりました」


 少年が少女の髪の毛を1本抜いたあと、魔王から離れる。

 それを確認すると、魔王は目を閉じた。






 やがて、魔王の周りが緑色に輝き出す。

 瞳と髪の色が銀色へと変わる。






 魔王は小さく呪文のような言葉を唱えると、少女の姿がぱっと消えた。

 魔王の瞳と髪の色も元の黒へと戻る。


「とりあえず送ってはみたが……ちゃんと着いたかどうやってわかるんだ?」

「リンクしているもの。だからすぐに……え?」


 神子の顔が青ざめていく。


「どうした?」

「リンクが切れてる……?」


 神子の顔は既に蒼白だ。


「そうか。次元の魔法が途中で不安定になってしまったのか……やはり分身体とはいえど、人間一人を送るのは無理があったようだな」

「大丈夫なの?」


 不安そうに魔王の顔を見る神子。


「一応、用心のために髪の毛を抜いておいてよかった。カイム」

「はい。生体反応を調べてみます……大丈夫です。生きてます!」


 少しほっとしたかのように息を吐く神子。

 顔色もさきほどよりは良くなっているようだ。


「なら、大丈夫だろ。奴と同じ世界に着いたんじゃないか?」

「仕方ないわね……さすがに私は魔力を回復しないとあの子を探せないでしょうし……。私は寝るわ」


 神子はその場に座り込む。


「え、ここでかよ?」

「神殿は仕女に任せてるもの。寝るならここの方が安全よ」

「母さん、なら、せめて客人部屋行けよ」

「あんた、頼んだ」

「はぁ!? お、おい!?」


 神子はその場に倒れこんでしまった。

 しばらく後、神子から規則正しい寝息が聞こえてきた。


「寝てしまいましたね」

「仕方ない。運ぶか」

「さすがに私じゃ無理ですしね……」

「俺もお前も大変だな」

「全くです」


(こうなったのはすべて一年前が原因なんですよね……あれからもう一年か……)

すべての始まりpart2に続く


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